こんにちは、ウイスキーおじさんです。
2023年もウイスキー業界はまだまだ元気ですね。
先日スコットランドはスペイサイド地方のシングルモルト、グレンファークラス50年が発売されました。
全世界で限定836本。日本では45本が入荷されましたが即完売。
今回は
・グレンファークラス蒸留所について
・初心者におすすめグレンファークラス
・至極のグレンファークラス
この3つを軸にお伝えして行きます。
グレンファークラス蒸留所
蒸留所の誕生秘話
時はさかのぼること160年。
1865年の初夏、農業にいそしんでいたジョン・グラントは家畜のアンガス牛たちを放牧させるために広大な土地を購入。
その広い草原にはたまたまウイスキーの蒸留所がポツンと建っていました。
息子とウイスキーを造る
土地を購入したジョンは息子のジョージとウイスキー造りをはじめて英国の植民地へ向けて輸出します。
二代目の早すぎる死
二代目の突然の死により若干16歳で家業を引き継いだ三代目グラントは近代設備などを積極的に取り入れ一気に生産拡大します。
しかし翌年、パートナーと共同経営していた会社が倒産。
当時のウイスキーバブルに便乗しようと持ち掛けられた話が、結果的に膨大な借金を背負うこととなりました。
このつまづきから立ち直るのに15年という歳月を費やしてしまったが、この長くて苦しい経験は今日まで決してブレることなく何処の企業参加にも入らず家族経営を貫いてきたグラント家の独立精神の根底に刻まれます。
四代目グラントとブレンデッド・ウイスキーの波
ジョージ・S・グラントが四代目に就任した1950年代
アイルランドのイーニアス・コフィが発明した連続式蒸留器によって造られたグレーン・ウイスキーとのブレンド・ウイスキーの人気が世界中で高まりブレンド用原酒のニーズを受けて蒸留基を倍増
しかし1980年にはこのブームも過ぎ去ることとなって大手のブレンドメーカーからの受注が無くなってしまいました。
幼少の頃から大きな負債を抱えた父親の姿を見続けていた四代目グラントはこのピンチにもしっかり対応。
ブームの終わりを見越して自社ボトリング用の原種ストックを増やしていました。
他の蒸溜所がどんどん減産する中、グレンファークラスは時流に逆らい増産。
蒸留器もなんと4基から6基に増やしました。
この判断により現在最も豊富なヴィンテージ原酒を世に送り出す蒸留所となりました。
五代目グラントとシェリー樽の関係
銀行や大手ブレンドメーカーで経営を学び五代目に就任したジョン・L・S・グラント。
就任前からセールスマンに徹して世界中を飛び回り今日の基礎となる販売網を築きます。
毎年スペインに訪問、自社原種の熟成に欠かせないシェリー樽を安定的に確保することに成功。
初代から五代目へ
1865年初代から代々引き継がれたグレンファークラス蒸溜所
三代目の苦労が、四代目の糧となって堅実さと先見性を併せ持つ家族経営となりました。
初心者におすすめグレンファークラス
数あるグレンファークラスのボトルの中でも初心者の方には「グレンファークラス105カスクストレングス」がおすすめ。
理由は二つで
・アルコール度数が60度とでとても濃くてしっかりした味わいながら値段は6,000円台とコスパが良い
・熟成年数に左右されずグレンファークラスの基礎がしっかり詰まっている
アルコールが強く感じたら少し水を加える(アルコール度数が高いので味がぐずれない)。料理と合わせるならソーダで割ってみる(ソーダの量によって野菜の煮付けから牛肉の煮込みまでバリエーション豊富です)。
色んな楽しみ方の出来る一本です。
https://m.media-amazon.com/images/I/51YZoX66DRL.AC.jpg
至極のグレンファークラス
私が今までに飲んだグレンファークラスの中で今でも強烈に記憶に残っているのが「グレンファークラス1997ファミリーリザーブ」です。
代々続く家族経営の理念とファミリーリザーブという名称はとてもインパクトが有り
アルコール度数50度ちょいでしっかりとした味わい。後熟にマディラ酒の樽を使っている珍しさ。日本へ親しみを込めてボトリングされたもので風味もストーリーも買って後悔はしないと思います。