「信念」のアイリッシュウイスキー、EGAN’S

170年の歴史を誇るアイリッシュウイスキー

今回は復活ののろしを上げて日本にやって来た「信念」のアイリッシュウイスキー、EGAN’Sを紹介します。

先ずはアイリッシュウイスキーの歴史、【衰退】からの【復活】。

ウイスキー 衰退からの復活

時は今から1600年以上さかのぼる6世紀アイルランドの修道僧が中東から香水の蒸留技術を持ち帰り

酒造りに応用したとかローマからアイルランドにやって来た聖パトリック(アイルランドにキリスト教を広めた修道士)が蒸留技術を広めたなど諸説あります。

それから千年の時を経て1600年代にアイルランドで最古の公認蒸留所オールドブッシュミルズが操業を始めたとされ

1700年代にはいるとアイリッシュウイスキーは栄華を極め当時は2000もの蒸留所が存在したとされています。

1800年代に入ると乱立していた蒸留所は数々の統合により160に、1880年には28に減少しました。

このように一時期のアイリッシュウイスキーは世界のウイスキー市場のシェアの60%を占めるほどになりましたがその後あまりにも長いアイリッシュウイスキーの冬の時代がやって来ます。

アイリッシュウイスキー衰退の原因は

アメリカ合衆国の禁酒法

アメリカ合衆国で偽物の粗悪品の広がり

大英帝国との戦争

と一般的に言われていますが実はもう一つ致命的な出来事があったんです。

アイリッシュウイスキー、語られらなかった致命的出来事

先日イーガンズ・アイリッシュの操業6代目のジョナサンとルパートは僕たちにこう語ってくれました。

「1831年イーニアス・コフィが連続式蒸留機を発明した。安価で大量にグレーンウイスキーが造れる技術を投入したスコットランドのブレンド・ウイスキーが世界の市場を塗り替えた。」と。

皮肉にもアイルランド人のイーニアスコフィの連続式蒸留機には目もくれず、単式蒸留という伝統製法を守り続けた結果,

1970年代にはアイルランド北部にブッシュミルズ、南部にミドルトンとアイリッシュ・ウイスキーの蒸留所がこの2つだけになってしまいます。

復活ののろし

しかし伝統、味、品質とそもそもスコットランドに負けていなかったアイリッシュ・ウイスキーが1980年代後半から復活ののろしを掲げます。

1987年クーリー半島でジョン・ティーリングによってクーリー蒸留所が産声をあげます。

そして2022年の今、アイルランドの蒸留所は建設中も含めて40箇所を平気で超えてきており

ウイスキーの市場で欠かせないアメリカ合衆国では毎年10%以上売り上げているようです。

イーガンズはボンダーズ

イーガンズは蒸留所ではありません。

自社でウイスキーは作っておらず数々の蒸留所から原酒を買ってきて自社で樽詰め熟成を行うボンダーズでスコットランドでいうところのボトラーズの役割。

今回日本の僕たちに話をしてくれたジョナサン・イーガンやルパート・イーガンがアイルランドの伝統も守りつつ革新的な熟成法でいくつかのイーガンボトルを世に出しています。

イーガンズを飲んでみた

今回わたしは4種類のイーガンズボトルを飲み比べして来たのでその感想を述べていきます。

EGAN’S VINTAGE GRAIN

アメリカ産ホワイトオーク樽を使ったファーストフィルのバーボンバレルでで8年以上熟成

ルパート・イーガン曰くジョン・ティーリング氏が手掛けるグレイトノーザン蒸留所のグレーン。

真のグレーン・ウイスキーを造りたくてビール工場だったところに蒸留所を建てたジョン・ティーリング。

そこのグレーン・ウイスキーを熟成させブレンドさせたイーガン。

ティーリングの信念が詰め込まれたボトルはひと言で言うとウエハース。飲んだ後に上品な甘みが口の中で広がっていく。

個人的には1:1でソーダ割にし、鯛の子の煮つけなどしっかりとした和食と合わせたい。

今回飲んだ4本のボトルの中で是非ウチで常飲したい一本です。

EGAN’S FORTITUDE

アイリッシュ・ウイスキーとしては非常に珍しく初めから最後までシェリー樽で熟成されたシングルモルト・ウイスキー。

レイフォンドカスティーヤというスペインのボデガ、なんとそこのペドロヒメネス樽を熟成に使っていると熟成担当のルパート・イーガンが話してくれました。

ペドロヒメネスというとアイスクリームとしか言えないくらいわたしには甘く感じるのですが

こう言ったチャレンジングさもイーガンズの魅力かも知れません。

飲んだ感じは少し焦げたような香ばしさとミキプルーン(わかるかな、中井貴一さんがCMしてるやつ)。

甘いリンゴと合わせるとマクドナルドのホットアップルパイになりそうな感じです。

EGAN’S ENDEVOR

三回蒸留というアイリッシュの伝統は守りつつ、熟成に使う樽は

・アメリカンオークの新樽(バーボンに使用した樽では無く全くの新樽)

・インペリアルスタウト樽(ギネス・ビールの空き樽)

・オロロソシェリー樽

・バーボン樽

4つの樽を使い、しかもピートで焚いた麦芽も4%使用しているとのこと。

ギネス樽のチョコの甘みや新樽から来るバニラをピートのフレーバーで引き立たせる狙い??

飲んだ感じはぜんざいと塩昆布のような関係スパイスの力で気づかなかった繊細な甘みを楽しむ感じ。

EGAN’S CONVICTION

2021年に発売された「信念」という名のブレンデッド・ウイスキー

10年以上熟成させたシングルモルトとシングルグレーンをイーガンが厳選し熟成。

そのあとXOコニャック(30年以上熟成)で後熟。

因みに10年以上熟成されたシングルグレーンが原酒なので先ほどご紹介したVINTAGE GRAINの原酒グレイトノーザンとは異なるグレーンが入っている(10年前はグレートノーザンはまだ稼働していない)。

飲んだ感じは香り、口当たり、余韻と全てに柑橘系が感じられてフルーツがリレーの様に入れ替わりやって来る。

わたし個人的にコニャック樽の後熟は好きなのでこのコンベクションもとてもウェットな後味がして良かったです。


イーガンズ センテナリー シングルモルト 46度 700ml

これからのアイリッシュ・ウイスキー

日本ではサッカー選手のロビー・キーンやアーティストのU2ボノとアイルランドのイメージは「不屈」「信念」「堅守」などのイメージも強く本来の滑らかなアイリッシュ・ウイスキーのイメージとは少し違うと思うが

アイルランドに訪れた人が口をそろえて話すのが「アイルランドの人は控えめでいて優しい」。

優しい気質を持ちながらも大英帝国との争いの中で対外的には頑固なイメージを見せざるを得なかったのだろうかとも思う。

島国ということもあり日本人とどこか共通するモノづくりをしているかも、、、と今回二人のイーガンが話す姿を見て強く感じた。

だからこれから世に出てくる、いやわたしが気づいていないだけでとてもスムースでいて芯のしっかりとしたウイスキーがどんどん出てくるのだろうと確信しています。

関連記事

  1. 牡蠣に合うウイスキー カネマラ

  2. サントリーウィスキー 終わりなき樽へのこだわり

  3. ウィスキー探訪 山崎蒸溜所 YAMAZAKI

  4. 1本165万円のウイスキーが即完売